スピーキング上達のための3ステップ
英語の習得について一番聞かれるのが、どうやったら喋れるようになる?というもの。
「とにかく喋れ!」と答える人も多いですが、答えになってへんやん、と僕は思います。
ということで、今回はスピーキングを上達させるために必要な3つのステップを紹介します。
① 文法・単語の知識を自動化させる。
② 映画やドラマなどで喋り方を真似する。
③ 実際に会話の中で英語を使う練習をする。
では、順に見ていきましょう。
① 文法・単語の知識を自動化させる。
みなさんは中学・高校と英文法や単語を覚えてこられたと思います。よく、「日本の学校教育は文法ばかりで…」と否定的に語られますが、学校の授業は間違っていません。この自動化という段階が足りていないだけです (白井、2012)。
では、自動化とは何か。
これは「土曜の午前中、たかしと一緒にバドミントンしようよ。」と言いたいときに、'Let's play badminton with Takashi on Saturday morning!' という中学で習ったような文をパッと組み立てられるようにしようということ。
第二言語習得論という学問分野の自動化理論というものがもとになっています(Mitchell et al, 2013)。
よく売れてる英語教材では、
森沢洋介『どんどん話すための瞬間英作文トレーニング』(ベレ出版、2006)
などで中心になっている方法です。
和文英訳をすることが目的ではないので、あくまで英文を瞬時に組み立てることに集中しましょう。
「えー、土曜はSaturdayで、午前中はmorningだから…」とかやっていてはだめです。音声がついている教材を買い、先に英文を何度か聞いてしまうのも良いでしょう。
テストではありませんから、考えるのも無駄です。数秒以内に言い出せないときはすぐに答えを見て音読してください。なんども繰り返して瞬発力を上げていきましょう。
② 映画やドラマなどで喋り方を真似する。
この方法の目的は、英語らしい流ちょうさを身につけることです。
日本人の方と話していると、この段階が抜けているなと思うことが多いです。
知っている知識を素早く組み立てられるようになっても、英語のリズムやイントネーションは身に付きません。日本人によくある、平坦で強弱のない話し方になってしまいます。
では、なにをすればよいのか。単純です。
映画、ドラマ、YouTuberたちの動画、政治家の演説、なんでもいいので、片っ端から聞きましょう。そして、聞こえた英語を、文単位で真似してください。アクセント、抑揚、声のトーン、全てです。自分の真似したものを録音し、元の音声と比べてみるのも良いでしょう(参照)。
使う素材は、理解できるレベルのものを使いましょう。そもそも何を言ってるかわからないものを真似しても、そこに込められた感情や意味が分かりませんから無駄です。
また、あまりにも訛りの強いものは避けましょう。BBCやCNNなどのアナウンサー、子供用のアニメなどは誰でもわかる話し方なので良いでしょう。
English Centralでは1分前後の動画が1万点以上、字幕付きで見られます。見るだけなら無料です。登録してみるのも良いかもしれません。
英語は質問は語尾を上げて、大事なとこは強く言って…などと知ったところで使えません。とにかく、生の音声を聞いて、徹底的に真似してください。
③ 実際に会話の中で英語を使う練習をする。
これは、変化する文脈の中で、瞬時に文を言えるようになるための練習です。
モチベーションの面でも、一番いいのは日本語の通じない他国の人と話すことでしょう。しかし、日本にいるとなかなか難しいもの(僕はよくその辺の外国人観光客に話しかけていますが)。
実は話す相手は誰でもいいのです。同じ目的を持った人がいれば、日本人の友達や同僚とでもいいですし、一人で喋るのもアリです。IELTSのスピーキング練習問題などを検索すれば、様々なテーマとそれに関する質問などが出てきます。誰かと練習するのが難しいという人は、通勤・通学途中や自分の部屋の中でどんどん話しましょう。
最後に
以上、スピーキングを練習するための3ステップを見てきました。
とにかく喋れ!という無責任なものでもなく、誰でも日本にいながら練習できる方法をまとめました。この3ステップは、①から順にやるというよりも、3つの間を行ったり来たりしながら続けるのが良いでしょう。
言語の習得は楽しいものです。
特に②や③は遊びのようなもの。リラックスしながら上達を。
参考
・白井恭弘『英語教師のための第二言語習得論入門』(大修館書店、2012)
・Mitchell, R., Myles, F., & Marsden, E. (2013). Second Language Learning Theories. Oxon: Routledge.